2012/12/04

第20回名古屋コンクール審査を終えての講評

昨日、名古屋コンクールにゲスト審査員として招かれ、最後に以下のような講評を述べさせて頂きました。(ここに備忘録として話を要約しておきます。)

今回の審査は、1位から4位あたりまで投票に相当なバラツキがありました。これは何故かと私なりに考えました。要は正確に弾けている人の演奏は面白くなく、面白い演奏の人にはミスが多いという。こうなると審査員の基準というか視点が少し変わっただけで結果が大きく影響されるわけです。
こういう例えは大変失礼かもしれませんが、わかり易く言えば、「毛並みも良く血統書付だけど可愛くない犬」と、「ちょっと不細工やけど可愛い犬」が何種類かいたとして、皆さん、あなたはどっちを飼いますか?ということです。(会場から笑)いや、冗談やないんです。だから音楽は素晴らしいし、コンクールはオリンピックなどのスポーツ競技と違うんです。

じゃあ、結局何を目指したら良いのかと申しますと、これはですね、さらに上のランクに行くしかない。世の中には「毛並みも良くて可愛い」っちゅうのがちゃんと存在するわけなんです。つまり、「ミスもなく、良い技術、良い音を持ち、音楽性もあり、かつ面白い」というような若者が出てくるんです。
私はやはり、ここを目指して欲しいと思うんです。

(中略)

それから、コンクールに出す曲なんですが、もうマンネリ化してしまって鮮度を失っている人が散見されました。作品を初めて知った時の感動。同じ作品で場数を踏んでも、作品へのフレッシュな気持ちはなくさないで欲しいですね。理想を言えば、その作品が昨日生まれたように弾いて欲しいのです。(これは練習して弾き込んだ状態を保ちつつ、なお新鮮な感覚を維持するという難しい課題ですが)
皆さん、より上を目指して頑張って下さい。